
.
「ちゃんと頑張っているのに、なぜかうまくいかない。」
そんなふうに感じたことはありませんか?
一生懸命努力している。
いろいろ工夫もしている。
人からアドバイスをもらうこともある。
それなのに、気がつくと、また同じところでつまずいている。
そんなことが続くと、
.
「自分の能力が足りないのかな」
「もっと頑張らなきゃいけないのかな」
「どうして私は、うまくできないんだろう……」
と、自分自身を責めたくなってしまうことがありますよね。
.
でも、もしかすると――
うまくいかない理由は、あなた自身に問題があるからではないのかもしれません。
.
身体に「癖」があるように、私たちの考え方や行動にも、知らず知らずのうちに身についた「癖」があります。
その癖が、今の自分に少し合わなくなっている。
ただ、それだけなのかもしれません。
.
もしそうだとしたら、必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、今までの自分を責めることでもありません。
「私は、どんな考え方や行動をする癖があるんだろう?」
そんなふうに、一度自分を眺めてみることなのではないでしょうか。
.
この記事では、身体の「癖」と思考・行動の「癖」を重ねながら、なぜ頑張っているのにうまくいかないことがあるのかを、一緒に考えてみたいと思います。
そして最後には、
「自分がダメだから、うまくいかないんじゃなかったのかもしれない」
と、少しだけ心が軽くなってもらえたら嬉しいです。
.
身体に「癖」があるように、思考にも「癖」がある
私たちの身体には、普段の生活の中で身についた「癖」があります。
たとえば、
- 足を組む
- いつも同じ側に重心をかけて立つ
- 前屈みの姿勢になる
- 中腰の姿勢を続ける
- ソファでそのまま寝てしまう
など。
その瞬間には、それほど気にならないことでも、同じ姿勢や動かし方を長く繰り返していると、身体の使い方に偏りが生まれることがあります。
「こっちのほうが楽だから」
「いつもこうしているから」
そんな小さな積み重ねが、いつの間にか「いつもの姿勢」になっているんですね。
そして、それは身体だけではないのかもしれません。
私たちの考え方や行動にも、「いつものパターン」があります。
.
たとえば、
「何でも自分でやろうとする」
「ギリギリまで頑張ってしまう」
「全部終わらせてから休もうとする」
「失敗しないように、何度も確認する」
「人に迷惑をかけないように、自分が我慢する」
など。
もちろん、これらがすべて悪いわけではありません。
むしろ、その考え方によって助かった経験も、きっとあるでしょう。
.
ただ、身体の癖と同じように、
「今まで自分を支えてくれたやり方」が、今の自分には少し合わなくなっている
ということもあるのではないでしょうか。
.
たとえば、身体の使い方に偏りがあることに気づいたら、
「なんてダメな身体なんだ」
とは、普通は考えませんよね。
「ここに力が入りやすいんだな」
「いつもこっち側に重心をかけているんだな」
と、まずは気づく。
.
そして、必要であれば少しずつ身体の使い方を変えていく。
思考や行動についても、同じように考えてみてもいいのかもしれません。
「私はダメだから、うまくいかない」
と決めるのではなく、
「私は、こういう考え方や行動をする癖があるんだな」
と気づいてみる。
.
その小さな気づきが、これまでとは違う選択肢を見つけるきっかけになることもあるのではないでしょうか。
.

.
頑張っているのに、なぜかうまくいかない人
では、もう少し具体的に考えてみましょう。
たとえば、
「決めた時間までに、物事を終わらせることが苦手」
という人がいたとします。
.
午前中にここまで終わらせよう。
この時間までには、次の作業へ移ろう。
今日はここまでにして、続きは明日にしよう。
そう決めているのに、気がつくと時間を過ぎてしまう。
「また間に合わなかった……」
そんなことが何度も続いていました。
.
この人は、決して怠けているわけではありません。
むしろ、
「どうすれば、もっと早く作業できるだろう?」
と考えて、いろいろな工夫をしています。
.
作業そのものを早くする。
無駄な時間を減らす。
複数のことを段取りよく組み立てる。
優先順位を考える。
人からアドバイスをもらえば、それも試してみる。
.
つまり、この人はちゃんと努力しているんです。
それなのに、なぜかいつも時間を超えてしまう。
そして、
「自分は時間管理が下手なんだ」
「もっと効率よくできるようにならないと」
「どうして私は、こんな簡単なこともできないんだろう」
と、自分を責めるようになってしまいました。
.
でも、ここで少しだけ見方を変えてみます。
もしかすると、この人が一生懸命改善しようとしていたのは、
「いかに短い時間で、たくさんのことを終わらせるか」
という部分だったのかもしれません。
.
ところが、この人の中には、別の思考の癖がありました。
それは、
「時間ギリギリまで、できるだけたくさんのことを詰め込もう」
という考え方です。
たとえば、午後5時までに終わらせようと思っていても、
「あとこれくらいならできる」
「これもやっておきたい」
「ここまでやったなら、もう少し進めておこう」
と、次々に作業を追加してしまう。
一つひとつの作業を以前より速くできるようになったとしても、
「時間いっぱいまで、できるだけ詰め込む」
という前提が変わっていなければ、結局また午後5時を過ぎてしまいます。
.
ここには、少し面白いところがあります。
この人は、
「もっと効率よくしなければ」
という努力はしていました。
.
でも、本当に見直す必要があったのは、
「何をどこまでやったら、今日は終わりにするのか?」
という部分だったのかもしれません。
.
「どこまでやるか」を決める。
「これは明日でもいい」と判断する。
「ここまでできたら、今日は十分」と区切る。
そうした選択も、時間内に終わらせるためには大切なのかもしれません。
.
つまり、この人に必要だったのは、
もっと頑張ることではなかった。
.
ましてや、
能力が低かったわけでも、努力が足りなかったわけでもない。
.
ただ、
「どうしたら、もっと速くできるか?」
という方向だけではなく、
「そもそも、どこまでやればいいんだろう?」
という方向からも考えてみる必要があった。
そんな可能性があるのではないでしょうか。
.
そして、これは決して「今までの努力が無駄だった」という話でもありません。
作業を早くする力も、段取りを考える力も、きっとその人が身につけてきた大切な力です。
.
ただ、その力に加えて、
「やらないことを決める」
「後回しにする」
「終わりを決める」
という選択肢を持ってみる。
それだけで、今までとは少し違った結果になることもあるのかもしれません。
「頑張っているのに、なぜかうまくいかない。」
そんなとき、私たちはつい、
「もっと頑張らなければ」
と考えてしまいます。
.
でも、もしかしたら必要なのは、努力を増やすことではなく、
努力の向きを、ほんの少し変えてみること
なのかもしれません。
.
「自分はダメだ」と考える前に、思考と行動のパターンを見てみる
「頑張っているのに、なぜかうまくいかない。」
そんなことが続くと、私たちはつい、
「自分には能力がないのかな」
「自分は要領が悪いのかな」
「どうして、みんなはできるのに自分はできないんだろう」
と、自分自身に原因を求めてしまうことがあります。
.
でも、ここで一度だけ、視点を変えてみてもいいのかもしれません。
「自分がダメなのではなく、もしかしたら“やり方”に、いつものパターンがあるのでは?」
と。
.
たとえば、先ほどの「時間内に終わらせることが苦手な人」なら、
「もっと早くやらなければ」
と考えるだけではなく、
「私は、時間いっぱいまで予定を詰め込む癖があるのかもしれない」
と見てみる。
すると、「できない自分」を責める必要が少しなくなります。
そして、
「じゃあ、どこを変えてみたらいいんだろう?」
と、次の選択肢を考えられるようになります。
.
「できない」ではなく、「いつも、こうしている」と見てみる
この違いは、小さなようでいて、意外と大きいのではないでしょうか。
「私は時間内に終わらせられない」
と言うと、自分自身の能力の問題のように感じます。
でも、
「私は、時間ギリギリまでできるだけ詰め込もうとする傾向がある」
と言ってみると、少し印象が変わります。
.
前者は、
「自分そのもの」
に問題があるように感じます。
後者は、
「自分の中に、そういうパターンがある」
という見方です。
.
もし「パターン」なら、必要に応じて変えることもできます。
もちろん、必ず変えなければならないわけでもありません。
そのパターンが今の自分にとって役に立っているなら、そのまま大切にしてもいい。
ただ、
「このパターンのおかげで、少し苦しくなっているのかもしれない」
と思うのであれば、
「別のやり方もあるかもしれない」
と、選択肢を増やしてみる。
.
それくらいから始めてもいいのではないでしょうか。
「どこまでやるか」「何を後回しにするか」
先ほどの例であれば、
「どうすれば、もっと速く作業できるか?」
だけではなく、
「そもそも、今日はどこまでやれば十分なんだろう?」
と考えてみる。
「これは今日やらなくてもいいかもしれない」
「ここまでできたら、今日は終わりにしよう」
「残りは明日の自分に任せてもいい」
そんな選択肢を持つこともできます。
これは、努力をやめることではありません。
.
むしろ、
「何をするか」だけではなく、「何をしないか」も自分で選ぶ
ということなのかもしれません。
そして、それは時間管理だけに限った話ではないでしょう。
人間関係でも、
「自分が全部なんとかしなければ」
と思っている人なら、
「これは相手に任せてもいいかもしれない」
という選択肢があるかもしれません。
仕事でも、
「全部完璧にやらなければ」
と思っている人なら、
「ここは、このくらいで十分かもしれない」
と考えてみることもできます。
もちろん、それがいつでも正解というわけではありません。
.
大切なのは、
「今まで私は、どんなパターンで行動していたんだろう?」
と、一度自分に問いかけてみること。
その答えが見えてくると、
「自分はダメだから、うまくいかない」
という一つの結論だけではなく、
「もしかしたら、別のやり方もあるのかもしれない」
という可能性が見えてくることがあります。
そして、その「可能性」が見えてくるだけでも、心は少し軽くなるのではないでしょうか。
.
人からアドバイスをもらっても、元のパターンに戻ってしまうのはなぜ?
ここまで読んで、
「じゃあ、自分の思考や行動の癖を変えてみればいいんだな」
と思った方もいるかもしれません。
でも、ここで一つ、知っておきたいことがあります。
.
それは、
「一度気づいたからといって、すぐに変わるとは限らない」
ということです。
.
たとえば、誰かから、
「全部を時間内に終わらせようとしなくてもいいんじゃない?」
「これは明日に回してもいいんじゃない?」
「ここまでできたら、今日は終わりにしてみたら?」
とアドバイスをもらったとします。
そのときは、
「確かに、その通りかもしれない」
と思う。
.
実際に、その日は意識して行動を変えてみることもできる。
ところが、数日、数週間と経っていくうちに、
気がつけばまた、以前と同じように時間いっぱいまで作業を詰め込んでいる。
そして、また時間を超えてしまう。
「またやってしまった……」
「せっかく教えてもらったのに、できなかった」
「やっぱり私は、変われないのかな」
そんなふうに、自分を責めてしまう。
.
でも、ここで、
「アドバイスを聞けなかった」
と考えなくてもいいのかもしれません。
「聞く耳がない」からではない
人からアドバイスをもらったとき、
「分かっているけど、私はやらない」
と最初から拒否しているわけではない人もたくさんいます。
.
ちゃんと話を聞いている。
「なるほど」と思っている。
やってみようとも思っている。
それでも、いつの間にか元の行動に戻ってしまう。
.
それは、「素直じゃないから」でも、「意志が弱いから」でもないのかもしれません。
なぜなら、その考え方や行動は、これまで何度も繰り返してきた「いつものパターン」だからです。
長いあいだ使ってきた道があると、何も考えなければ、いつもの道を歩いてしまう。
それと少し似ているのかもしれません。
.
「今日は違う道を歩いてみよう」
と思っていても、気がついたらいつもの道を歩いていた。
そんなことは、誰にでもありますよね。
.
だから、
「また元に戻ってしまった」=失敗
とは限らないのではないでしょうか。
.
「また、このパターンが出てきたんだな」と気づく
もし、以前と同じ行動をしていることに気づいたら、
「またできなかった」
ではなく、
「あ、またこのパターンが出てきたんだな」
と、少し違う言葉を自分にかけてみる。
.
たとえば、
「私は、時間があると全部使い切ろうとするんだな」
「私は、終わりを決めるより、できるところまでやろうとするんだな」
と。
.
それだけでも、自分を見る目が少し変わります。
「できなかった自分」を責めるのではなく、
「自分の中にあるパターンに、また気づけた」
と考えることができるからです。
.
そして、次に同じ場面が来たとき、
「そういえば、前にも同じことがあったな」
と思い出せるかもしれません。
.
そのとき、
「今日はここで終わりにしてみようかな」
と、一つ違う選択をしてみる。
また元に戻ることもあるでしょう。
でも、そこでまた気づく。
そして、また少しだけ変えてみる。
そんな繰り返しでもいいのではないでしょうか。
.
「変わる」は、一度で完成しなくてもいい
私たちは、「変わる」というと、
昨日までの自分とは違う人になることを想像してしまうことがあります。
.
でも、本当はもっと小さなものなのかもしれません。
.
昨日と同じ場面で、
今日は、ほんの少し違う選択をしてみる。
そして、次の日にはまた元に戻ってしまったとしても、
「戻ったから全部ダメ」
と考えない。
.
「じゃあ、また次の機会に気づいてみよう」
くらいでもいい。
.
そうやって少しずつ、
「いつものパターン」から
「別の選択肢もある」
というところへ、行ったり来たりしながら広がっていく。
そんな変化もあるのではないでしょうか。
.
だから、
「何度言われても同じことをしてしまう」
「一度は直せたのに、また戻ってしまった」
という経験があったとしても、
それだけで自分を責めなくていいのだと思います。
.
もしかすると今は、
「変われていない」のではなく、
「自分のパターンに気づく練習をしている途中」
なのかもしれません。
.
思考の癖を「直す」のではなく、「気づいてみる」
ここまで読んで、
「なるほど。自分にも、思考や行動の癖があるのかもしれない」
そう感じた方もいるかもしれません。
.
でも、ここで一つ大切にしたいことがあります。
それは、
「自分の癖を見つけたら、すぐに直さなければいけない」
と考えなくてもいい、ということです。
.
なぜなら、その癖にも、きっとそれなりの理由があったからです。
.
---
.
今までの自分を否定しなくていい
たとえば、
「何でも自分でやろうとする」
という人。
.
もしかすると、これまで自分で頑張ってきたからこそ、身についた考え方なのかもしれません。
人に頼らずに頑張ったことで、乗り越えられた経験があったのかもしれない。
「最後まで諦めない」
という姿勢を大切にしてきた人なのかもしれない。
.
あるいは、
「時間があるなら、できるだけたくさんやろう」
という考え方も、
「少しでも多くのことを終わらせたい」
という、その人なりの真面目さや向上心から生まれたものなのかもしれません。
.
だから、
「この考え方はダメだったんだ」
と、過去の自分まで否定しなくてもいいのではないでしょうか。
今までの自分には、今までの自分なりの理由があった。
そして、そのやり方で助かったことも、きっとあった。
.
ただ、
「今の自分には、もう一つ別のやり方もあるかもしれない」
と知る。
それくらいでもいいのだと思います。
.
---
.
「私は、こういう癖があるんだな」と眺めてみる
たとえば、
「私は、予定を詰め込みやすいんだな」
「私は、全部終わらせてから休もうとするんだな」
「私は、失敗しないように考えすぎることがあるんだな」
「私は、人に頼るより自分で頑張ろうとするんだな」
そんなふうに、
自分の思考や行動を、一歩引いて眺めてみる。
それだけでもいいのです。
.
「良い」「悪い」とすぐに判断しなくてもいい。
「直す」「直さない」と決めなくてもいい。
ただ、
「私は、こういうパターンを持っているんだな」
と知っておく。
すると、次に同じような場面が訪れたとき、
「あ、またいつもの考え方が出てきた」
と気づけるかもしれません。
.
そして、そのとき初めて、
「今回は、少し違うやり方を選んでみようかな」
という余地が生まれます。
.
---
.
「別のやり方もある」と知る
大切なのは、
一つのやり方しかないと思わないこと
なのかもしれません。
.
「最後まで全部やる」
だけではなく、
「今日はここまでにする」
という方法もある。
「自分ですべて抱える」
だけではなく、
「誰かにお願いする」
という方法もある。
「完璧に仕上げる」
だけではなく、
「まずはここまでで十分」
という方法もある。
.
もちろん、どれを選ぶのが正しいかは、そのときの状況によって変わります。
だから、
「こうしなければいけない」
という答えを一つに決める必要もありません。
.
ただ、
「今までの私には、このやり方しかないと思っていたけれど、ほかにも選択肢があるのかもしれない」
と知っておく。
.
それだけでも、心の中に少し余白が生まれることがあります。
.
---
.
思考の癖に気づくことは、自分を変えることではない
「自分の思考の癖に気づく」
というと、
「自分を変えなければいけない」
と感じるかもしれません。
でも、私はむしろ、
「自分を、もう少し知ってあげること」
に近いのではないかと思います。
.
いつも同じところで頑張りすぎてしまう自分。
なぜか同じことで悩んでしまう自分。
つい時間いっぱいまで詰め込んでしまう自分。
そんな自分を、
「どうして私は、こんなこともできないんだろう」
と責めるのではなく、
「私は、こういうときに、こういう考え方をするんだな」
と、少し優しく見てあげる。
.
すると、
「じゃあ、今回はどうしてみようかな?」
と、自分自身に問いかけられるようになるかもしれません。
その答えは、誰かに決めてもらわなくてもいい。
あなた自身が、そのときの状況や気持ちを見ながら選んでいいのです。
.
思考の癖に気づくということは、
「自分を作り変えること」ではなく、
「自分の中にある、もう一つの選択肢に気づくこと」
なのかもしれません。
.

.
身体の歪みに気づくように、自分の思考にも気づいてみる
ここまで、思考や行動の「癖」について考えてきました。
ここで、最初にお話しした身体のことを、もう一度思い出してみましょう。
.
私たちの身体には、普段の生活の中で身についた動かし方や姿勢の癖があります。
足を組む。
いつも同じ側に重心をかける。
前屈みの姿勢になる。
同じ姿勢を長く続ける。
そのときは、それほど気にしていなくても、身体に負担を感じたとき、
「そういえば、いつもこの姿勢をしているな」
と気づくことがあります。
.
すると、
「じゃあ、少し姿勢を変えてみようかな」
「反対側も使ってみようかな」
「少し休憩してみようかな」
と、今までとは違う選択肢が見えてくる。
.
思考や行動についても、少し似た見方ができるのではないでしょうか。
.
---
.
「なぜか、いつも同じところでつまずく」
たとえば、
仕事をすると、いつも時間ギリギリになってしまう。
人間関係で、いつも自分が我慢する側になってしまう。
何かを始めると、完璧にやろうとして疲れてしまう。
失敗したくなくて、考えすぎて動けなくなる。
「なぜか、いつも同じようなことで苦しくなる」
ということがあるとします。
.
そんなとき、
「自分は何をやってもダメだ」
と考えることもできるでしょう。
.
でも、別の見方もあります。
「私は、こういう場面になると、いつも同じ考え方や行動をしているのかもしれない」
と見てみるのです。
.
---
.
「いつもの癖」に気づくと、選択肢が見えてくる
たとえば、
「時間があると、できるだけ予定を詰め込んでしまう」
という癖に気づいたとします。
すると次に、
「今日は、あえて少し余白を残してみようかな」
という選択肢が生まれます。
.
「何でも自分でやらなければ」と考える癖があるなら、
「今回は誰かにお願いしてみようかな」
という選択肢が生まれるかもしれません。
.
「失敗しないように、完璧に準備してから始めよう」とする癖があるなら、
「まずは小さく始めてみようかな」
という選択肢もあります。
.
もちろん、それがいつでも正解とは限りません。
「余白を作るほうがいい」
「人に頼ったほうがいい」
「小さく始めたほうがいい」
と、一つの方法を押しつけたいわけではありません。
大切なのは、
「今までの自分のやり方以外にも、選べるものがある」
と知ることです。
.
---
.
気づくことは、「自分を責めること」の反対側にある
ここが、今回の記事で一番伝えたいことの一つかもしれません。
.
自分の癖に気づいたとき、
「またこんなことをしてしまった」
と責めることもできます。
でも、
「私は、こういうときに、こういうパターンが出やすいんだな」
と知ることもできます。
同じ出来事でも、自分への言葉が少し違いますよね。
そして、その違いによって、
「自分を責める」ことから、
「自分を理解する」ことへ
少しずつ視点を移していけるのではないでしょうか。
.
身体の姿勢に気づいたときに、
「なんてダメな身体なんだ」
と責める必要はありません。
ただ、
「ここに力が入りやすいんだな」
と気づく。
そして必要なら、少し動かし方を変えてみる。
.
それと同じように、
「私は、こういう考え方をしやすいんだな」
と気づいてみる。
そして必要なら、
「今回は、少し違う選択をしてみようかな」
と試してみる。
そのくらいの距離感でも、十分なのかもしれません。
.
---
.
自分を変えるのではなく、自分との付き合い方を少し変える
もしかすると、
「自分を変える」
という言葉そのものが、少し大きすぎるのかもしれません。
.
今までの自分を否定して、新しい自分になる。
そう考えると、なんだか大変ですよね。
でも、
「自分との付き合い方を、ほんの少し変えてみる」
なら、もう少し気軽にできるのではないでしょうか。
.
いつもの考え方に気づく。
いつもの行動に気づく。
そして、
「今回は、どうしてみようかな?」
と、自分に問いかける。
.
その答えは、そのときのあなたが選べばいい。
昨日と同じ選択をしてもいいし、今日は少し違う選択をしてみてもいい。
大切なのは、
「自分には、選ぶ余地がある」
と知っておくことなのかもしれません。
.
あなた自身が悪いわけではない
ここまで読んで、
「もしかしたら、自分にも思考や行動の癖があるのかもしれない」
そんなふうに感じた方もいるかもしれません。
.
でも、ここで一つだけ、大切にしたいことがあります。
それは、
「うまくいかない原因が、自分の中にある」=「自分が悪い」ではない
ということです。
.
「うまくいかない自分」を責めなくていい
何かがうまくいかないとき、
「自分には能力がないのかな」
「どうして自分は、いつもこうなんだろう」
「もっと頑張らなきゃいけない」
と、自分自身を責めてしまうことがあります。
.
けれど、ここまで見てきたように、
もしかすると問題は「あなた自身」ではなく、
いつの間にか身についた、いつもの考え方や行動のパターン
にあるのかもしれません。
たとえば、
「時間内に終わらせられない自分はダメだ」
と思っていたとしても、
実際には、
「時間があるなら、できるだけ多くのことを終わらせよう」
というパターンを、無意識に繰り返していただけなのかもしれません。
そう考えると、
「自分はダメだ」
と決めつける必要は、少しなくなってくるのではないでしょうか。
.
もちろん、本当に原因が一つのパターンだけとは限りません。
環境や体調、相手との関係、そのときの状況など、いろいろなものが重なっていることもあります。
.
だからこそ、
「自分が悪い」
と一つに決めつけるのではなく、
「ほかに、どんな要因があるんだろう?」
と眺めてみる。
.
そんな見方もあっていいのだと思います。
変えるのは「あなた自身」ではなく、パターンの一部分かもしれない
.

.
もし、自分の中に「いつものパターン」が見つかったとしても、
自分自身を丸ごと変える必要はありません。
むしろ、
今までの自分を否定する必要もないのではないでしょうか。
.
そのやり方には、そのやり方なりの理由があったはずです。
たくさん頑張ってきたからこそ身についたものもあるでしょう。
周りに迷惑をかけないようにするためだったのかもしれません。
失敗しないように、できるだけ準備するためだったのかもしれません。
誰かに頼らず、自分で何とかしようとしてきた結果なのかもしれません。
そう考えると、
「この癖を直さなきゃ」
ではなく、
「今までの自分は、こうやって自分を守ったり、支えたりしてきたんだな」
と見ることもできます。
.
そして、そのうえで、
「今の自分には、もう一つ別のやり方もあるかもしれない」
と考えてみる。
.
たったそれだけでも、見える景色は少し変わるかもしれません。
あなたを作り変える必要はない。
.
もしかすると、
あなた自身ではなく、あなたを少し苦しくしている「いつものパターン」の一部分だけを、ほんの少し変えてみる。
それで十分なこともあるのではないでしょうか。
.
「変わらなければいけない自分」ではなく、
「まだ気づいていない選択肢がある自分」。
.
そんなふうに、自分を見てあげることもできるのだと思います。
.
今日から、自分の「いつもの癖」を一つだけ見つけてみる
ここまで読んで、
「自分にも、いつもの思考や行動のパターンがあるのかもしれない」
と思った方は、今日から少しだけ、自分を観察してみてもいいかもしれません。
といっても、
「自分の癖を全部見つけよう」
と頑張る必要はありません。
むしろ、一つだけで十分です。
.
最近、
「なぜか、うまくいかないな」
「いつも同じところでつまずいている気がする」
と感じたことを、一つ思い出してみてください。
.
そして、こんなふうに眺めてみます。
① 最近「なぜかうまくいかない」と感じたことは?
仕事でも、家事でも、人との関係でも、自分自身のことでも構いません。
「また時間が足りなくなった」
「また考えすぎてしまった」
「また一人で抱え込んでしまった」
「また完璧にやろうとして疲れてしまった」
など、
「なぜか、いつもこうなるな」
と思うことはないでしょうか。
.
まずは、それを一つだけ見つけてみます。
② そのとき、どんな行動をしていた?
次に、その出来事が起きたときの自分の行動を、少し思い出してみます。
たとえば、
「時間がないのに、もう一つ仕事を追加していた」
「誰かに相談すればいいのに、一人で考え続けていた」
「十分できているのに、まだ足りないと思って続けていた」
など。
.
ここでは、
「こんなことをしていた自分はダメだ」
と評価する必要はありません。
ただ、
「私は、この場面でこういう行動をしていたんだな」
と眺めてみます。
③ その前に、どんなことを考えていた?
そして、もう一つだけ。
その行動をする前に、自分は何を考えていたでしょうか。
「まだできる」
「ここまでやらないといけない」
「自分で何とかしなきゃ」
「失敗しないように、もっと考えよう」
そんな思いがあったのかもしれません。
行動だけを見るのではなく、
「その行動の前に、どんな考えがあったんだろう?」
と見てみる。
.
すると、
「もしかしたら、いつも同じ考え方をしているのかもしれない」
と気づくことがあります。
④ もし別のやり方があるとしたら?
ここまで見てみたら、最後に一つだけ問いかけてみます。
「もし、別のやり方があるとしたら、自分はどうしてみたいだろう?」
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
.
「今日はここで終わりにしてみようかな」
「誰かに相談してみてもいいかもしれない」
「最初から全部やろうとしなくてもいいのかもしれない」
「少し余白を残しておこうかな」
そんな小さな選択肢が見えてくるかもしれません。
もちろん、
それが必ず正解とは限りません。
.
やってみたら、今までの方法のほうが自分には合っていた、ということもあるでしょう。
.
それでも、
「別のやり方もあるのかもしれない」
と知っていることには、意味があるのではないでしょうか。
大切なのは、
「今日から自分を変えよう」
と力むことではありません。
自分の中にある「いつものパターン」に気づいて、
「私は、どうしたいだろう?」
と、自分に問いかけられるようになること。
.
その小さな気づきが、
これまでとは少し違う選択肢を見つけるきっかけになるのかもしれません。
.
おわりに|あなたを変える必要はないのかもしれない
身体には、いつの間にか身についた「癖」があります。
いつも同じ側に重心をかけていたり、
同じ姿勢を長く続けていたり、
気づかないうちに身体に負担のかかる動きをしていたり。
.
それと同じように、
私たちの思考や行動にも、
いつの間にか身についた「いつものパターン」があるのかもしれません。
そして、そのパターンが、
今の自分には少し合わなくなっていることもあるでしょう。
.
そんなとき、
「自分はダメだ」
「もっと頑張らなきゃ」
「自分を変えなきゃ」
と考えてしまうことがあります。
.
でも、もしかすると、
変える必要があるのは、あなた自身ではないのかもしれません。
これまでの自分を否定する必要もありません。
今までのあなたには、
今までのあなたなりの考え方があり、
そのやり方で頑張ってきた時間があったはずです。
ただ、
「今までのやり方だけが、これからも唯一のやり方なのだろうか?」
と、少しだけ立ち止まってみる。
.
そして、
「私は、こんなパターンを持っているんだな」
「こういうとき、私はいつもこう考えるんだな」
と気づいてみる。
.
そこから、
「別のやり方もあるのかもしれない」
と、もう一つの選択肢を知ってみる。
.
それだけでも、十分なのかもしれません。
.
.
私たちは、うまくいかないことが続くと、
「自分に何かが足りないからだ」
と思ってしまいがちです。
でも、
頑張っているのにうまくいかないとき、
必要なのは、さらに頑張ることだけではないのかもしれません。
.
努力の量ではなく、努力の向きを少し見直してみる。
自分を責めるのではなく、自分のパターンに気づいてみる。
自分を作り変えるのではなく、別の選択肢を一つ加えてみる。
.
そんな見方も、あっていいのだと思います。
あなたは、何かを付け足さなければ価値がないのではありません。
もともとあなたの中には、
これまでの経験から身につけてきた力も、
考える力も、
頑張る力も、
そして、まだ気づいていない可能性もあるのではないでしょうか。
.
だから、
「自分を変えなければ」
と急がなくても大丈夫。
.
まずは、
「私は、いつもどんなパターンを選んでいるんだろう?」
と、自分を少し眺めてみる。
そして、
「もし別の選択肢があるとしたら、私はどうしたいだろう?」
と、自分に問いかけてみる。
その答えは、誰かから教えてもらうものではなく、
あなた自身が見つけていくものなのかもしれません。
もしかしたら、
うまくいかなかったのは、
あなたがダメだったからではなく、
ただ、
「今の自分には、もう一つ別のやり方があるよ」
と気づくタイミングだったのかもしれません。
.
そしてその気づきは、
大きな変化ではなくてもいい。
今日、いつものパターンを一つ見つける。
明日、そのパターンとは少し違う選択肢を思い出してみる。
そんな小さな一歩から始まってもいいのだと思います。
あなたを変える必要はないのかもしれません。
ただ、
今までの自分に、もう一つの見方を加えてみる。
その先に、
今まで気づかなかった自分の一面や、
まだ選んだことのない道が、
そっと見えてくることもあるのではないでしょうか。
.

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