その先には、まだ見ぬ光がある。
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その言葉に導かれるように、
一本の道を歩き始めます。
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草が風に揺れています。
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頬をなでる風はやわらかく、
どこか懐かしい香りを運んできます。
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足元の土は、
ゆっくりと歩幅を受け止めてくれます。
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急がなくていい。
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そんなふうに、
大地そのものが語りかけてくるようでした。
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空は、
朝焼けとも夕焼けともつかない茜色。
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一日の始まりにも、
終わりにも見える不思議な時間が流れています。
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丘の向こうから、
静かな光が差しています。
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まだ何も見えません。
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けれど、
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なぜでしょう。
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足は自然と前へ進みます。
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この先には、
きっと理由がある。
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そんな気がするのです。
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名前には、
その人らしい「音の空気」があります。
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言霊やカタカムナでは、
一つひとつの音には意味や流れが宿るとも言われています。
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もちろん、
それが唯一の正解というわけではありません。
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けれど、
名前の音にそっと耳を澄ませると、
一枚の風景が静かに浮かび上がってくることがあります。
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このシリーズは、
その風景を五感で歩く、小さな旅です。
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今回は、
「さいじょう あかね」という名前の音から、
私の心に広がった風景を描いてみます。
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まず、
風が動きました。
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「さ」
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草原を渡る風は、
景色をやさしく揺らします。
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空気が少しだけ変わる。
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何かが始まる前には、
いつもこんな静けさがあるのかもしれません。
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「い」
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一本の道。
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遠くは見えなくても、
ただ一歩ずつ歩いていく。
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その静かな意志が、
足元を支えています。
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「じょう」
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空が広がります。
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高く。
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どこまでも。
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心まで深呼吸をしたくなるような、
大きな空です。
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そして、
名前は新しい色を帯び始めます。
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「あ」
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世界が目を覚まします。
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眠っていた景色が、
ゆっくりと光を受け入れていきます。
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「か」
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一筋の光が、
草原を照らしました。
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光は急ぎません。
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けれど確かに、
景色を変えていきます。
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「ね」
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大地の奥深くへ、
静かに根を張る命。
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見えない場所で支えているものほど、
本当は強いのかもしれません。
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歩き続けるうちに、
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風が少しだけ変わりました。
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光が、
ゆっくりと景色を包み始めます。
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そして、
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あなたは一歩、
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その場所へ足を踏み入れます。
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あなたを待っていたのは、
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一本の木でした。
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しばらくの間、
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ただ、
その木を見上げていました。
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風が枝を揺らします。
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葉がこすれ合う音が、
静かに空へ溶けていきます。
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草の香りが、
ゆっくりと流れてきます。
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何も変わっていないようで、
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光は少しずつ、
景色の色を深めていました。
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ふと気づきます。
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この木は、
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誰かに見つけてもらうために
立っているわけではありません。
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誰かと比べるためでもありません。
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ただ、
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ここで空を見上げ、
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風を受け、
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雨を受け、
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長い時間を重ねてきたのでしょう。
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だからでしょうか。
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この木のそばにいると、
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「もっと急がなければ。」
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そんな気持ちが、
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少しずつほどけていきます。
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焦らなくてもいい。
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立ち止まる日があってもいい。
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目には見えなくても、
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根は今日も、
静かに育っています。
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「さいじょう あかね」
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という名前から私が感じたのは、
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自分だけが輝こうとする光ではありません。
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周りの景色まで、
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やさしく染めていく光でした。
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茜色は、
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空だけを染めません。
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草原も。
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木々も。
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歩いてきた道も。
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同じ光で包み込みます。
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そのやさしさが、
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この名前の響きと、
どこか重なるように感じたのです。
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帰り道は、
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行きとは少し違って見えました。
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同じ道なのに、
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風の音がやさしく聞こえます。
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同じ空なのに、
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茜色が少しだけ、
心の近くにある気がします。
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景色は変わっていません。
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変わったのは、
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景色を見つめる
自分自身なのかもしれません。
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名前の音には、
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その人らしい空気が宿っている。
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私は、
そう感じています。
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だから、
この風景も正解ではありません。
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「さいじょう あかね」
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という名前の音から、
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私の心に広がった、
ひとつの景色です。
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もし、この景色が、
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あなたの心にも
小さな光を灯したなら、
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それ以上に嬉しいことはありません。
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あなたには、
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どんな景色に見えましたか。
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